ANDの才能

「ビジョナリーカンパニー」を読んだ。

ジム・コリンズ (著), ジェリー・ ポラス (著), 山岡 洋一 (翻訳)】

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 内容は、衰退する企業と、輝き続けるビジョナリー・カンパニーの違い。そこには、ビジョナリー・カンパニーが時代を超える生存の法則として、次の8つを描き出していました。

【ビジョナリー・カンパニーの8つの生存の法則】
(1)製品ではなく企業そのものが究極の作品と考える
(2)現実的な理想主義
(3)基本理念を維持し、進歩を促す
(4)社運を賭けた大胆な目標
(5)カルトのような文化
(6)大量のものを試して、うまくいったものを残す
(7)生え抜きの経営陣
(8)決して満足しない

 ただ、これらのことよりも、私は以下の部分が一番心に残っている。

 

「ORの圧力」と「ANDの才能」

「ビジョナリー・カンパニーは、「ORの抑圧」で自分の首をしめるようなことはしない。「ORの抑圧」とは、手に入れられるのは AかBのどちらかで、両方を手に入れる ことはできないという、 いってみれば 理性的な考え方である。しかし、ビジョナリー・カンパニーは、安定か前進か、集団としての文化か個人の自主性か、生え抜きの経営陣か根本的な変化か、保守的なやり方か社運を賭けた大胆な目標か、利益の追求か価値観と目的の尊重か、といった二者択一を拒否する 。そして、「ANDの才能」を大切 にする。これは逆説的な考え方で、AとBの両方を同時に追求できる とする考え方で ある。」

これは、ここ数年、私自身が行ってきている考え方であった。例えばA、B 2つの考え方があったとき、A派の人はBを否定し、B派の人はAを否定することが多い。これが「ORの抑圧」である。反対にA派の人がBの良いところを見て、B派の人がAの良いところを見る。そして、より両方の良いところを追求していく。これが「ANDの才能」の考え方である。この考え方が習慣化すると、常に相手の(考えの)良いところを見るようになり、また、常識を疑うようになる。

 スポーツにおいて、選手の育成を考えずに勝利を目指す指導を私は、「勝利至上主義」と呼び、逆に、勝利を考えずに選手の育成のみを目指す指導を「育成至上主義」と呼んでいる。極端にどちらかに偏っているコーチはそう多くないと信じているが、少なからず、このどちらかに寄っているコーチが多い。そしてこのタイプの違う2種類のコーチたちは互いに相手を認めず批判することが多いように感じる。この批判が「ORの抑圧」である。育成年代の指導をしていると、「育成」と「勝利」が相反するもののように感じられるようだ。しかし、私はここにも「ANDの才能」を発揮する。個のレベルアップを大切にして、その能力を発揮するようなチーム作りをするのだ。そして、その成果を勝利につなげる。「育成」し「勝利」するWゴールを目指している。これは「勝利至上主義」でも「育成至上主義」でもない。あえて言えば「育成・勝利主義」である。練習では、まずは個の力を伸ばすので選手全員が上達していく。それぞれの選手が、試合の中で起こりえる状況での「認知力・判断力・実行力」を上げていく。すると、練習したことを選手が試合でどんどん試す、チャレンジする。とても積極的である。当然ミスも起こる。ミスをした選手は、自分で手に入れたその課題をより練習する。ミスしてしまうことを含めても私は、練習したことにチャレンジする選手たちの姿を見てとてもうれしく、楽しい気持ちになる。私はこれらをことを積み重ねて今シーズンもチャレンジする。コーチも選手も「ANDの才能」を発揮しWゴールを目指す。